チーム

町家再生におけるスキームづくりのイメージ

現代の木造住宅生産における課題から抽出されるゼロエミッション(ごみ)、リサイクル、省エネ・低環境負荷などのテーマは、人類を破滅から回避させるために不可欠な緊急課題と重なります。また、問題解決の目標である良質な住宅ストック、建物の長寿命化、プレファブ化、省エネ・低環境負荷化、災害に対する安全性の確保、伝統構法の継承システム、メンテナンスフリーなどは町家では当たり前だったということにもスキームづくりのヒントがあると思われます。

継承すべき伝統と形骸化した「形式」を見極め、「現代」の町家として、今日の「市場」が求める「形」や理想を追求した新しいモデルの提示も必要でしょう。居住者にも環境にも無理のない新しい「現代」の町家づくりには、最新のエンジニアリングによる問題解決もまた不可欠であり、これらを軸としたスキームづくりが求められています。

従来の建築プロセスからの脱却

このように、ハードもソフトも多様な面を持つ町家を再生するにあたっては、これまでにやってきた建築設計プロセスからの脱却を図ることが必要であると考えます。町家再生のスキームづくりのためにも、従来の枠に捕らわれずに、同業・他業種との連携を積極的に行うことで、新しい柔軟な発想と解決策がもたらされるのではないでしょうか。

1. 地元の製材所、生産者との連携

木材の流通、管理の問題点を抽出し解決方法を探るには、町家を再生するプロセスで地元の製材所、生産者と連携して検討するのが有効であると思われます。地元の木材を使用することでトレーサビリティが明確になり、国産材を有効利用できます。
本プロジェクトでは、地元の笠原木材(株)と連携して取り組みます。

2. 「木構造」の専門家との連携

町家再生の木構造に関する問題解決においては、専門家との連携が必要と思われます。専門家が加わることで現代的な新たな提案も可能となるからです。本プロジェクトでは、木構造設計の専門家である稲山正弘氏と共同で新しい木構造も検討しています。

3. メーカーとの連携

全国のオーダーメイドに取り組むメーカーとの連携も有効であると思われます。こうしたネットワークづくりを進めることで、町家の個性を活かすオリジナル製品の開発が可能になり、小品で施主の個性を表現した物作りをも可能にします。
本プロジェクトでは、辻井硝子建材(株)との協働で取り組みます。

辻井硝子建材の合わせガラスを使用した岐阜新聞会館

4. 職人との連携

町家で利用されてきた飛騨の匠の技術を継承する職人と連携し、技術の保全や向上のためのシステムづくりも求められています。
本プロジェクトでは、調湿機能としての土壁ばかりでなく、「通り土間」等生活に潤いを与える土壁も考え、土壁にこだわる左官職人の挟土秀平氏と連携し、オリジナルの土壁を創造していきます。
また、将来的には「飛騨の匠塾」のような技術継承機関の設立も検討していきます。

挟土秀平氏が担当した富士屋 花筏の土蔵の土壁

5. ランドスケープアーキテクトとの連携

町家再生に関しては、内部構造だけでなく街の景観を意識することが特に大切であると思われます。
本プロジェクトでは、専門家の稲田純一氏との協働で町家の大切な外部空間の創出に取り組みます。

稲田純一氏が担当した富士屋 花筏のランドスケープ

6. 不動産業との連携

市街地で廃屋、空き屋になっている建物を再生するだけでなく、再生後にキッシュフローが成り立つ事業として新たに活用できるような提案が必要になるケースも検討しなければなりません。
そのため、本プロジェクトでは、(有)飛騨プロパティマネージメントと協働を開始しました。それにより中心市街地の活性化や景観創出が可能になります。