宇津江四十八滝自然公園エリア整備計画 自然保護と観光の両立を目指して高山市合併記念公園

自然保護と環境の両立を目指して

2016.12.23

宇津江四十八滝には、「四十八滝物語」という伝説が残されています。その伝説によると、この滝は、その昔、龍が天に昇る際に、その軌跡として出来たものであると伝えられています。龍が象徴する豊かで美しい水のあるところには、豊かで多様な動植物が生息し、生命にとって心地よい環境を創り出しています。全国でも少なくなった貴重なブナの原生林もここではまだ健在です。

日本の里山からブナなどの広葉樹林が消えてから、自然環境破壊が加速されました。広葉樹は落葉するため、土壌を肥沃にし、保水力のあるものにします。ブナ林のあるところの湧き水が美味しいのはそのためです。秋には美しく紅葉する広葉樹林の里山は、国土の水と土壌を守る、言わば、日本の里山の原点でもあるのです。しかし、ブナは木質が柔らかく、家具や建材に適さないため伐採されていきました。原生林は、今では、自然公園として保護されている地域などでしか見られなくなっています。

公園などの観光地として自然を保全していく場合には、生態系を保持しながら、観光地としての利便性や魅力も加味する必要があり、いかに自然と共生していくかという、自然保護と観光の両立が問われることになります。

自然の芸術性に感応できる場として

今回の整備計画では、自然の持つ芸術性に着目し、水をアートとして捉え、五感に感応する公園を目指しています。滝の整備には龍伝説の物語性を盛り込み、“高山龍伝説の郷”として新たな感動を創造する整備計画としています。

滝を4つのゾーンに分けることで、それぞれの滝の特徴がより明確になり、訪問者に滝の位置をより分かりやすくし、滝を巡る楽しみが演出されます。滝の最上部には、空を映し出す新たな湖(天の湖)を設け、滝を山頂まで登り切った後のプレゼントともなる感動を提供する仕掛けとしています。

「天の湖」を最上部に設け、滝道を上ってきた訪問者に感動を提供する。

自然の保全に配慮した廻遊の庭として

観光客などの訪問者が、快適かつ安全に公園の自然を楽しめると同時に、訪問者によって自然がいたずらに荒らされないような配慮も施す必要があります。滝や木々、巨石や空など自然の美しさを実感できる最良の場を整備し、視点場としての「座」を設けることで周辺環境を守ります。

また、ゾーン毎に休憩箇所を作り、無理なく進めるような設計を施します。現状の人工的な林間広場も再整備し、四季の植栽を施して四十八滝と一体の森とします。滝周辺の森には、生態系を損なわない低木のモミジなどを植え込み、植栽環境をより豊かにしたり、案内看板などのサインは、自然素材を使って視覚の邪魔にならないようにしたりするなど、廻遊の庭としての快適さも追求しています。

「滝の座」 周囲の自然に配慮した視点場として「滝の座」を設け、訪問者にベストの滝景観を提供。

維持運用、発展させていく仕組み作り

公園としての自然環境保護がサステナブルであるためには、人手と資金が必要です。台風で滝が傷み、ハイキング道が崩れて通行不能になることも多々あり、一度の改修工事で整備が不要になるわけではありません。将来の発展のプロセスまでも考慮したマスタープランを描く必要があります。市民ボランティアや経済性を盛り込んだ計画であることが求められます。「人」と「資金」をしっかりと位置付けるプランがあってこそ持続可能となるのは、環境保護の現代的課題であるでしょう。

高山市民時報で紹介されました。