自然に譲るという精神哲学を実現できる場として奥飛騨温泉郷・平湯温泉もずも
奥飛騨温泉郷・平湯温泉『もずも』は、奥飛騨の原生林の自然環境をできるだけ破壊しないような配慮のもとに、建物とランドスケープを設計した全10室の温泉宿です。建物の建築工事を行う際には、現況表土の植栽種保護のために、表土をすき取って移植したり、また、工事によって影響を受ける可能性のある樹木には、事前に保護措置をする等、最大限現況を損なわない努力をしています。
「もずも」とは、乗鞍岳より流れる毛受母川に由来し、その昔、神々が出雲への往還の際、旅の疲れを癒した清流と伝えられています。その伝説を踏まえ、森の幽玄さと神秘さを基調とした稲田純一氏によるランドスケープにより、四季折々、時々刻々の景観が楽しめる自然美溢れる旅の宿は、“自然に譲る”という精神哲学を実現できる場ともなりました。
「JIA日本建築家協会優秀建築選2007」受賞(2007年)
延べ面積 | 1,186m2 |
構造・規模 | 木造平屋建て |
竣工 | 平成18年4月 |
撮影 | XIU企画 |
施設HP | http://www.mozumo.com/ |
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うつろう時といのちのランドスケープデザイン(稲田純一)
2016.11.14
ヴィム・ヴェンダースは旅について、ある雑誌のインタビューに答えている。
”もずも”は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯にある、旅人のための宿である。
敷地を初めて訪れて感じたのは、土地に宿る”時”であった。平湯の外れの毛受母川の畔にあって、落葉松の林に同居してシラビソの古木が何本も立っているではないか。こんなに胸がドキドキするほどの感動は、学生時代に穂高を縦走して以来である。
”もずも”は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯にある、旅人のための宿である。
敷地を初めて訪れて感じたのは、土地に宿る”時”であった。平湯の外れの毛受母川の畔にあって、落葉松の林に同居してシラビソの古木が何本も立っているではないか。こんなに胸がドキドキするほどの感動は、学生時代に穂高を縦走して以来である。